玉井社長に聞く!訪問服薬支援と薬剤師のお仕事
第4回:今回は、ちーぷ薬局が育む「在宅に強い薬剤師」について玉井社長に伺いました。

私は、「在宅支援」に関わらず、これからの薬剤師にはこれらのスキルが不可欠だと思っています。
■薬の知識は必須。更に医師に情報提供できる薬剤師であること。
■マニュアルだけでは行き届かない、在宅業務の経験知に基づいた行動ができること。
■知識と今やるべきコトのつながりが分かる「センス」を持つこと。
上記3つが揃った「センスある薬剤師」になるためには、身につけるべき「気付き力」「目配り力」「コミュニケーション力」を理解しておくと良いでしょう。

気付き力

気付き力はセンスです。最初からセンスがある人ばかりでなく、センスは後から付いてくるものです。
気付きが足りない人は気付けるように、手順が分かる表を作ることから始めます。
手順を追って、気を付けるべきポイントを細かく上げるなど、材料を拾い上げておくのです。
マニュアルではなく、ツール。気付き力を持つ人に育てるには、まずそのツールから作れるように育成します。

目配り力・気配り力

在宅訪問時の目配りや、お薬のコンプライアンスを上げるために様々な気配りを行うこと。
それらをちーぷ薬局スタッフが共有し、急な変更にも対応できることは、どこの薬局さんでも注力していることでしょう。
ちーぷ薬局は、更に一歩進んだ目配り力・気配り力を取り組んでいます。
患者様によっては、退院時カンファランスに参加することもあります。
退院直後が不安定な場合が多いため、知り得る情報があれば受け持った当初から必要なツールづくりにも役立ち、準備もできるからです。
医師が薬や手技を変える場合の情報になり、いざ情報提供を求められた時に情報は沢山あった方が良いと考えます。
なによりも、退院直後の環境により突発的に起こる事象によって、患者様の容態が急変してしまうかもしれない。
それらを事前に防ぐことはご本人やご家族に安心して在宅にお迎えすることになると思うのです。

コミュニケーション力

患者様、ご家族、ケアマネージャー、ヘルパー、看護師そして、医師。
在宅医療に関わる方へのコミュニケーションは、薬剤師が以下の事柄を心掛けているかで違いがでます。

■正確であること。
 在宅の現場での目配り力・気配り力により得た情報と、薬剤や保険の知識を基に情報提供できること。
■スピードをもって行動すること。 
 担当薬剤師が知り得る情報を囲い込んでいては、効率の良いお届けや緊急対応ができません。
 局内での声かけ、カルテ情報の共有により必要な薬剤の準備のスピードがアップします。

これらは、患者様やご家族にも安心をお届けすることに直接関わってきます。
さらに、気持ち良く仕事ができることは、薬剤師自身のモチベーションを上げ、仕事に対する新たな目標を目指すことにつながると確信します。

ちーぷ薬局では、研修会を通じて更に在宅に強い薬剤師を輩出していきたいと
取り組んでいます。

ちーぷ薬局グループ研修会では、専門医師によるビデオ講義と当局薬剤師による往診実例レポート発表を行っています。
これからの薬剤師は受け身ではなく、能動的に動けるようになってほしい。それには医療知識を研鑽する必要を感じます。
ただ、どうしても窓口対応業務中心だと、臨床経験が乏しくなってしまいます。
一方で在宅支援の薬剤師は往診同行で臨床の現場に立ち会うこともあるのです。
目配り力・気配り力が医療の知識に裏付けされたものであれば、より多角的に担当医に情報提供できると思います。

研修会では専門医師による医学の知識と、最新医薬の情報、往診時に活用できるツールの共有をしています。
又、ガイドライを参照し、ちーぷ薬局で扱っている薬剤と照らし合わせながら、私も現場での経験をお話ししています。

超高齢社会に必要とされる「在宅に強い薬剤師」になっていただきたいと願っています。

ちーぷ薬局玉井  聞き手 ニシムラ

2014年11月にグループ研修会が行われました。
ちーぷ薬局には、お子さんをお持ちの女性も多く、なかなか平日の夜に集まりにくいという配慮から、日曜日の午前中に実施されました。
研修会には、40名近くの参加者がありました。
今回は「創傷治療の革命」ビデオの研修後に、褥瘡(じょくそう)の予防・ガイドラインに沿って玉井先生より解説がありました。
在宅でも良く見かける皮膚疾患に対する治療ついて、4月に保険改正もあったため参加者の関心も高く、熱心に聞き入っていました。
創傷治療のプロセスを見て、普段取り扱っている薬剤の理解を深められたと思います。

レポート担当 ニシムラ
グループ研修会の様子